「見た目はそっくりなのに、なぜ値段が倍以上違う?」
店頭でニューバランスのスニーカーを手に取った時、そんな疑問を抱いたことはありませんか?
結論から申し上げますと、ニューバランスはアメリカ・ボストン発祥のブランドですが、USA製・UK製・アジア製でその製造哲学は全く異なります。
「たかがスニーカーに3万円?」かつての私もそう思っていました。しかし、USA/UK製は単なる消耗品ではありません。それは、熟練の職人が手作業で作り上げる「工芸品」であり、修理しながら10年履き続けられる「一生モノの相棒」なのです。
この記事では、スニーカーバイヤー歴10年の私が、生産国による決定的な違いと、大人が選ぶべき「正解の一足」について解説します。
この記事を書いた人

三浦 タカシ(みうら たかし)
ヴィンテージスニーカーバイヤー / フットウェアライター
原宿の老舗スニーカーショップで10年間バイヤーを務め、ボストンやフリンビーの工場視察経験もあり。現在は「大人のためのスニーカー学」をWebメディアで連載中。「スニーカーは単なる消耗品ではない。手入れをしてソールを張り替え、革靴のように『育てる』楽しみを伝えたい」がモットー。
ニューバランスの正体は「矯正靴」。100年続く履き心地への執念
まず、ニューバランスというブランドのルーツについてお話しします。
多くの人がファッションブランドだと思っていますが、実はニューバランスは1906年にボストンで「矯正靴メーカー」として誕生しました。
偏平足などを治すためのインソールや、整形外科で使用される矯正靴を作っていたのです。「New Balance(新しいバランス感覚をもたらす)」という社名には、履いた人に完璧なバランスを提供したいという強い意志が込められています。
ニューバランスと矯正靴というルーツは、現在の履き心地への執念に直結しています。
単にかっこいいから売れているのではありません。医学的な知見に基づいた「足への優しさ」がDNAとして刻まれているからこそ、長時間歩いても疲れない魔法のような履き心地が実現できているのです。
なぜUSA/UK製は3万円もするのか?価格差を生む「3つの決定的違い」
では、本題に入りましょう。なぜ同じ「N」のロゴがついているのに、アジア製は1万円前後、USA/UK製は3万円以上もするのでしょうか?
その価格差には、明確な理由があります。
1. ハンドメイド(職人の手作業)
最大の違いは「人の手」が入っているかどうかです。
アジア製が機械による大量生産であるのに対し、USA/UK製は熟練の職人がミシンを使い、手作業で縫製を行っています。
特に「袋縫い」と呼ばれる伝統的な製法は、足を包み込むようなフィット感を生み出しますが、非常に手間がかかります。この人件費と技術料が、価格に反映されているのです。
2. 素材のグレード
使われている素材も別物です。
USA/UK製には、加水分解(ボロボロになる現象)しにくい高級ウレタン素材や、上質な天然皮革が惜しみなく使われています。見た目の高級感だけでなく、耐久性においても大きな差があります。
3. リペアサービス(修理して履く)
これが最も重要なポイントです。
USA/UK製とリペアサービスは、長く履き続けるためのセットの関係にあります。
ニューバランスジャパンでは、USA/UK製の一部モデルを対象に、すり減ったソールを交換する「リペアサービス」を提供しています。
つまり、3万円のUSA製は「履き潰して終わり」ではありません。ソールを張り替えながら、5年、10年と履き続けることができるのです。
🎨 デザイナー向け指示書:インフォグラフィック
件名: USA/UK製とアジア製の製造工程と寿命比較
目的: 価格差の理由を視覚的に理解させ、USA/UK製の長期的コスパの良さを伝える。
構成要素:
- タイトル: 3万円の理由はここにある!製造と寿命の違い
- 左側(USA/UK製):
- イラスト: 職人がミシンで縫う姿
- キーワード: 「ハンドメイド」 「高級素材」 「リペア可能(寿命10年以上)」
- 右側(アジア製):
- イラスト: 工場のベルトコンベア
- キーワード: 「機械生産」 「コスト重視」 「履き潰し(寿命2〜3年)」
- 補足: 「初期投資は高くても、長く履けるから実は高コスパ」というメッセージを入れる。
デザインの方向性: 左はクラシックで重厚なイメージ、右はモダンでライトなイメージ。
参考altテキスト: ニューバランスのUSA/UK製(ハンドメイド・リペア可)とアジア製(機械生産・リペア不可)の比較図解。✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: もし予算が許すなら、最初の一足こそUSA/UK製を選んでください。
なぜなら、この点は多くの人が「最初は安いのでいいや」と考えがちですが、アジア製でニューバランスの真価(雲の上を歩く感覚)を知ることは難しく、結局すぐに買い替えることになるからです。良いものを長く使う体験は、あなたのライフスタイルそのものを豊かにしてくれます。
【比較】USA製・UK製・アジア製、あなたに合う「正解」はどれ?
「じゃあ、どれを選べばいいの?」という方のために、生産国ごとの特徴を整理しました。
📊 比較表
表タイトル: 生産国別ニューバランスの特徴とおすすめな人
生産国 価格帯 特徴 おすすめな人 代表モデル USA製 3万円〜 ラフで無骨
アメカジの王道。履き心地は柔らかめ。デニムやチノパンに合わせたい人
オリジナルの雰囲気を楽しみたい人M990, M1300, M996 UK製 3万円〜 ドレッシーで上品
革靴文化の影響でレザーの質が高い。キレイめコーデやジャケットに合わせたい人
高級感を重視する人M1500, M576 アジア製 〜1.5万円 コスパ最強
最新技術を安価に提供。普段履きでガシガシ使いたい人
雨の日用や2足目が欲しい人CM996, ML574
USA製とUK製は、同じ高級ラインでも「性格」が異なります。
USA製はアメリカらしいおおらかで無骨な作り、UK製はイギリス紳士靴のような端正な作りです。あなたの普段のファッションに合わせて選ぶのが正解です。
大人が選ぶべきは「990番台」か「1000番台」。失敗しないモデル選び
最後に、大人の男性が選んで間違いのないモデルを2つ紹介します。
1. スニーカー界のロールスロイス「M1300」(USA製)
1985年に発売され、当時の価格で約3万9千円という破格の値段がついた伝説のモデルです。
あのラルフ・ローレンが「雲の上を歩いているようだ(It’s like walking on a cloud)」と絶賛したエピソードはあまりにも有名です。
M1300とラルフ・ローレンのエピソードは、この靴の価値を証明する最強の権威付けとなっています。 これを履いているだけで、「分かっている人」と思われる一足です。
2. スティーブ・ジョブズが愛した「990シリーズ」(USA製)
Appleの創業者スティーブ・ジョブズが、イッセイミヤケのタートルネックに合わせて履いていたのがこのシリーズです。
「1000点満点中990点」というキャッチコピーで登場し、現在も進化を続けています。レトロすぎず、ハイテクすぎない絶妙なデザインは、大人の休日に最適です。
よくある質問(FAQ)
Q: 中国製やベトナム製は偽物なんですか?
A: いいえ、偽物ではありません。ニューバランスの正規品の多くは、中国やベトナムの工場で生産されています。公式ショップや信頼できる正規取扱店で購入したものであれば、アジア製でも立派な本物ですので安心してください。
Q: サイズ感は生産国で違いますか?
A: はい、少し違います。一般的にUSA製は少しゆったりめ、UK製は甲が低めでタイト、アジア製は標準的と言われています。できれば店頭で試着することをおすすめしますが、迷ったら0.5cmアップを選ぶのが無難です。
Q: 加水分解はどうすれば防げますか?
A: 一番の対策は「履くこと」です。履かずに箱にしまいっぱなしにすると、湿気がこもって劣化が早まります。適度に履いて空気を循環させ、保管時は風通しの良い場所に置くのが長持ちの秘訣です。
まとめ:3万円は「高い消耗品」ではなく「一生モノへの投資」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ニューバランスの価格差は、単なるブランド料ではありません。それは、「矯正靴」としての機能を極限まで高めるための職人の手仕事と、長く履き続けるための品質への対価です。
3万円のスニーカーを買うことに、まだ迷いはありますか?
それは決して高い買い物ではありません。これから5年、10年とあなたの足元を支え、色々な場所へ連れて行ってくれる「相棒」への投資だと考えれば、むしろ安いとさえ言えるはずです。
ぜひ、あなただけの一足をリペアしながら育てていく楽しみを味わってください。
参考文献
- New Balance 公式サイト:Made in USA/UK – New Balance Japan
- New Balance リペアサービス – New Balance Japan
- Muuseo Square:ニューバランス特集 – Muuseo Square


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