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【解説】「ワ印」の意味とは?春画(笑い絵)を指す江戸の隠語と歴史

雑学
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古美術の目録や浮世絵に関する専門書を読んでいると、時折「ワ印(わじるし)」という見慣れない言葉が登場することがあります。

これは一体何のマークなのでしょうか?

結論から言うと、「ワ印」とは江戸時代に大流行した「春画(しゅんが)」を指す業界の隠語(伏せ字)です。この記事では、なぜ春画が「ワ印」と呼ばれるようになったのか、その語源と、江戸の人々が春画に込めた大らかなユーモアの歴史を解説します。

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1. 「ワ印」の語源:春画=「笑い絵」だったから

男女の交わりを赤裸々に描いた「春画」ですが、実は江戸時代には別の呼び名が広く定着していました。

【語源の正体】
江戸時代、春画は「笑い絵(わらいえ)」とも呼ばれていました。
この「笑い絵(Waraie)」の頭文字をとって、おおっぴらに口に出しづらい場面で「ワ印」と呼ぶようになったのが語源です。

現代で言うところの「マル秘」や「R指定」のようなニュアンスで、美術商や愛好家の間で使われてきた符丁(暗号)の一つと言えます。

2. なぜ春画を「笑い絵」と呼んだのか?

では、なぜ性的な描写のある絵を「笑い絵」と呼んだのでしょうか。
それは、江戸時代の春画が決して「いやらしいもの」「隠れて見るポルノ」としてだけ作られていたわけではないからです。

① ありえない誇張とユーモア

浮世絵師たちが描いた春画は、人物の性器が現実ではありえないほど極端に大きく、デフォルメされて描かれているのが特徴です。
これは写実性を追求したものではなく、見る者を驚かせ、ゲラゲラと笑わせるための「エンターテインメント(誇張表現)」でした。現代のギャグ漫画に近い感覚で楽しまれていたのです。

② 滑稽なシチュエーションと書き込み

絵の余白には、登場人物たちの会話が細かく書き込まれています。そこには「痛い」「下手くそ」といった痴話ゲンカや、覗き見している人のツッコミなど、クスッと笑えるような滑稽なストーリーが展開されており、まさに「笑うための絵」でした。

3. 単なるエロじゃない!春画の意外な役割

江戸時代の人々にとって、「ワ印(春画)」は娯楽以上の重要な役割も担っていました。

春画の役割 詳細解説
魔除け・火除けのお守り 「陰陽」の思想に基づき、春画(陰)を置いておけば火事(陽)を遠ざけるという迷信がありました。武士が鎧箱に忍ばせたり、商人が蔵のお守りとして大切に保管したりしていました。
嫁入り道具(性教育) 結婚を控えた娘に対し、母親が性教育のテキスト(ハウツー本)として、豪華な装丁の春画を持たせる風習がありました。
超絶技巧のショーケース 幕府の弾圧(出版統制)を逃れるため、春画は自主出版されることが多く、予算の制限がありませんでした。そのため、葛飾北斎や喜多川歌麿などの天才絵師たちが、最高級の絵の具と彫りの技術を惜しみなく注ぎ込んだ「究極の芸術品」でもありました。
【世界が絶賛した「Shunga」】
日本では明治時代以降に長くタブー視されてきましたが、ピカソなど海外の芸術家たちには早くからその高い芸術性が評価されていました。近年では大英博物館で大規模な「春画展」が開催されるなど、世界的なアートとして再評価されています。

4. まとめ

「ワ印」と春画の関係についてまとめます。

  • 「ワ印」とは、春画を指す隠語(符丁)である。
  • 語源は、春画の別名である「笑い絵」の頭文字からきている。
  • 江戸の春画は、いやらしさよりも「ユーモア(笑い)」や「お守り」としての意味合いが強かった。

もし美術館の展示や古美術の世界で「ワ印」という言葉を見かけたら、「ああ、あの世界が認めた究極の笑い絵のことだな」と思い出してみてください。浮世絵の奥深い歴史を、より一層楽しむことができるはずです。

参考文献・参照サイト

本記事の制作にあたり、浮世絵や春画の歴史的背景に関して以下のメディア情報を参考にしています。

 

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